2010年4月25日
先週の大きなニュースのひとつは岡本真夜のうたが上海万博に登場すること。
先週、メディアをにぎわしたのは上海万博のテーマソングが岡本真夜の曲にそっくりだったことだろう。
以前から中国のコピー活動には注目が集まっていたが国家的事業である上海万博のテーマソングがコピーでは、と言う議論になるにいたってコピー文化の面目躍如と言うべきだろうか。
ところでテレビで流れたテーマソングと岡本真夜の曲との比較を聞いて盗作かといわれて、あれ?と思った人もいるのではなかろうか?
テレビで流れていたのはそれぞれAメロの最初の二つのフレーズである。
岡本真夜の曲は二つのフレーズはまったく同じメロディであるのに対しテーマソングでは最初のフレーズは岡本真夜の曲と同じだが、二番目のフレーズは三度下のメロディになっているから、これは同じだとはいえない。
ただ、放送されなかった部分でもそっくりなところがあってBメロのフレーズもおなじだったので盗作疑惑に至ったと言うことらしい。
実はここでこのことを話題にしたいとおもったのは盗作疑惑が発生してからあとの流れについてである。
ひょっとして盗作だ、盗作ではない、という水掛け論に終わるか、とおもっていたら中国側はあっさり盗作であることを認め、さらには原作者にテーマソングとして使用することを求めたことと、さらに原作者側は認められたことを受け止めてテーマソングとしての仕様を了承した点である。
盗作を認める、つまり原著作者の権利を侵害したことを認め、更にその利用を求め原著作者はその著作権が認められたと言うことによって使用を了承する、というこの流れはきわめて短時間で進み、その過程では弁護士が登場し権利を主張し更にそれに対しての過大な対価を要求し、双方の議論になるという、よく見られる西の世界でのやりとりとはまったく違った流れで決着した。
これはある意味で著作権に関しての権利侵害の発生したケースでの理想的な処理のされ方ではなかったか、とおもう。
著作権を主張することイコール金銭を要求する、というビジネスに置き換えてしまい勝ちなよく見られる進め方に比べ、原著作者であるアーティストが著作権を認知されたことで更なる利用を了承し、しかもそれにいたる時間はほんの数日であり、弁護士の餌食にもならなかった、このケースは今後の著作権に関する処理のひとつのモデルケースになるのではないだろうか?
作者は著作権は侵害されたくない、つまり権利は認めて欲しい、しかし必ずしもすべての作者が権利侵害について金銭を取り立てたいとおもっているわけではないだろう。
なぜなら作者にとっては自分の作ったものが広く多くの人に知られ楽しまれるほうが弁護士経由で金銭を取り立てることよりも意味があると思っている人も少なくないからであろう。
岡本真夜の今回の対応を見て彼女のアーティストとしての姿勢を新たに認識した人も多いとおもう。彼女がアーティストが主体的であれば、、今回のような解決の仕方があることを示してくれたことの意味は大きいとおもう。