2010年8月11日
龍馬伝はキャスティングもなかなかだが演出が面白い。
大河ドラマは万人受けを求めるあまり、多くはそのキャスティングでひきつけていたように思うが今回は演出、とくにそれぞれの人物の描き方に注目。
実は龍馬伝を見ていた最初からあれっと思っていたことがある。
後に三菱を作った岩崎弥太郎の描き方である。
うわさによると三菱系からはNHKにクレームが出されたと聞くがそれがもっともらしく聞こえるほど見かけも行動も薄汚く狡猾に描かれている。しかし、冷静にみていると回を追うごとに商売がうまくなっていくところも描かれている。最初はいろんなものの行商であったのが最近ではとうとう樟脳のもととなる楠木の土佐藩内の台帳を作り始めた。これは明らかに物売りのビジネスから権利ビジネスへの進化である。これから弥太郎がいかにして現在の丸の内の土地を政府から払い下げをうけるのか、楽しみである。
山内容堂も歴史的には名君といわれているようだが、それを大胆にも孤独な飲んだくれ老人として描いている。酒の酔いに任せて意趣返しのような判断を武市半平太に対して下すところも人間くさくて面白い。多分、実像もこうであったのだろう。龍馬はもうすこし志高い威厳のある。
いつもの大河ドラマの主人公のように描けもしただろうが、最初からドタバタで、ミスキャストかと思った。しかし最近はこれも龍馬をある意味で軽薄に見せる演出ではないか、と思っている。
とくに最近の展開は薩摩と長州に連合を組ませたのは倒幕の名を借りた武器商人の販売戦略だった、と気づかされる。武器が欲しくても買えない長州に対してグラバーの代理人となって薩摩を通じて迂回取引をしくんでいる。しかも西欧側の申し合わせ違反にならないように薩摩から長州に売るのではなく手土産として納品させるわけである。
この龍馬の策にしぶしぶはめられてしまう西郷隆盛の顔をみているとやはり龍馬の暗殺を仕組んだのは西郷隆盛ではないか、という気にもなってくるしその背景は龍馬が武器商人であったからではないかと思うほどである。
ほかにもまだまだ気になる流れがあるが、、、、とにかく演出が面白い。