2010年8月30日
前回の‘良い男(1)‘では中学に入った頃永井荷風に惹かれた事を書いた。
荷風に惹かれたのはその生活のスタイルとその文章の透き通るような表現だった。
高校のころはあまりはっきりした記憶はない。
そのころは受験校の受験圧力から逃れるように女の子と音楽に関心を集中していた。
実は、通っていた中学高校は学者の子弟が多く、その影響もあって学者という人種に関心を持ち始めたのがこのころである。
数学者の岡潔氏の、晴雨に関係なくゴム長靴をはき傘を持った姿を覚えているのは憧れがあった証拠だとおもう。能力も無いくせに数学に興味をもったのもその頃である。
たしか、大学に入ってからのことだと思う。その頃シャンソン歌手のシャルル・アズナブールの‘イザベル‘という歌が好きだった。アズナブールのなんともいえないエロティックな声に惹かれたのである。
来日したときにはもちろんその公演に出かけたのだが、公演のあった翌日に今でもはっきり覚えているのだが、芝の東京プリンスホテルの地下のショッピングアーケードに出かけたらアズナブールが歩いている。そのときはかなりのいい年に見えたが、多分50台の半ばくらいだったのだろう。東京プリンスホテルに泊まっていたらしい。
当時はこのホテルは外国からの芸能人によく利用されていた。
そのアズナブールが連れていたのは真っ白のライダージャケットに同じく真っ白な極端に短いスカート、それに真っ白なブーツを履いたまっすぐな金髪を肩の長さですっきりそろえた、どうみても20前の女性である。
小柄でしわくちゃな感じのアズナブールとは強烈な対照だった。
その姿をみたとたん、自分も将来ああなれたら、、、、と思ったことははっきり記憶している。