2009年12月20日
たった3人、家族で経営しているレコード会社がある。
レコードという大量生産大量販売の商品とおもわれている世界に3人で、しかもすばらしい音楽をつくりだしている。
これからのレコードビジネスのひとつのモデルではないか?ヴィーナスレコードというジャズ専門のレコードレーベルがある。
父娘ともう一人、3人で経営しているレコード会社である。企画からアーティストの発掘、はては海外でのレコーディングまでてがけている。
しかも、ほぼ毎月新譜が出てくるから、年間にアルバムをすくなくとも10タイトル以上リリースしているはずである。いまもごく最近入手したアルバムを聴いている。
タイトルは‘EUROPE‘、Aaron Heikというアーティストのアルとサックスの演奏のスタンダードナンバーのアルバムである。3人だけ、しかも家族中心で運営されているビジネスでイメージするのは小売店だが、レコード会社となると、しかも毎月新譜を出しているとなると、大きな所帯でレコーディングスタジオをかまえたいわゆるレコード会社を思い浮かべる。しかしこの小さいが優れた音楽を提供し続けてくれている会社には特徴がある。父親で社長である原氏は企画、発掘、レコーディングまですべての主要な仕事を自分自身でこなせるのと、世界中のジャズの世界に人脈を持っているのと、、なによりも3人が音楽を作り出すことを楽しんでいるのではないか、とおもう。
小さなレコード会社だから小さな仕事か、というととんでもない。原氏の目利きのすばらしさかもしれないがこのレーベルがとりあげたアーティストが世界的なアーティストとして大成長しているケースもある。イタリア系のジャズ歌手であるRoberta Gambarini
もその一例である。
そもそも音楽は趣味の世界の市場である。レコードになった音楽はライブでもダウンロードでもない、音楽のひとつの商品の形である。3人でこん素敵なレコード会社が出来るなんて、自分も好きなジャンルで好きな音楽をレコードという形で世の中に出して行きたい、とおもって
いるひとにとってはとても心強くなる事例である。
ジャズの分野で出来るのだから、クラシックの分野でもできるはずだし、分野に限定されず展開の可能性がありそうだ。音楽ファンとしてはこんなレコード会社がいろんなジャンルでたくさん出てくることを期待したい。
ただ音楽を聴きたい、ということであればダウンロードで十分だろう。何かこだわって聞きたいというとき、あるいはそういう音楽の楽しみ方をしていうひとにはぜひおすすめの、ヴィーナスレコードである。